推しが隣に引っ越してきまして 〜月の裏がわ〜
「あのね、」佑月さんが口を開く、「あんなのは、無視したらいい。」
なんのことを言っているのかは明白だった。
亮さんは黙って聞いている。
「お前には、華がある。才能だよ。お前がもって生まれたもの。
それはずるいことでもなんでもない、誇っていい。
それに、お前はカッコいい。どんなに嫌なことを言われたって、嫌われたって、馴れ合おうとせず、自分を貫いていてカッコいい。」
初めて、自分の存在を認めてもらった気がする。
「でもさ、」
佑月さんが俺を見る。
「ちょっとくらい言い返してもいいんだよ。」
「お前とは違うんや。」と、亮さん。
「そっか。」と、何かに納得した様子の佑月さん。
今まで、ここに自分の存在を認めてくれる人なんていなかった。