イケメン社長からの溺愛が止まらない
「大丈夫!?びしょぬれじゃない!?」
いつの間にかタオルを大量に抱えた女の人が、私の横にしゃがんだ。
そして優しい手つきで、雨に濡れた髪や顔などを拭いてくれる。
その優しくて温かい手に、涙が出そうになって慌てて立ち上がった。
「あ、あの……ご迷惑おかけしてごめんなさい……。でも、大丈夫なので……」
そう言って、肩にかけられていたジャケットを返して、歩き出そうとすれば……。
グッとその手を掴まれて一歩も前に出ることが出来なかった。
「なっ……なんですか……?」
不信感丸出しで尋ねると、彼は黙って私のことを真っ直ぐに見ていた。
その感情の読めない瞳をみて、怖くなった。
優しい人たちだと思っていたけど、もしかして何か悪いことをしている人たちなんだろうか?
そんな雰囲気は全く感じないけど、人間の本性なんてそう簡単には分からない……。
私はそれを痛いくらい理解している。
まぁ、もうこの人たちがどんな人たちでも、どうでもいい。
私の命なんてもう、あってないようなものなのだから……。
「……っ!?」
いきなり掴まれたままの手を引っ張られて、声にならない声が喉から出た。
驚きすぎて、何もできないでいると、背中に手が回って強く抱きしめられる。
耳元に感じる鼓動。
それが何故かひどく心地良くて、安心できて……。
バサッと手に持っていた鞄が地面に落ちる音がしたのと同時に、私はそのまま意識を手放した……。