イケメン社長からの溺愛が止まらない
驚いて声も出せずにいれば、お母さんが悲しそうに微笑んだ。
『ごめんね、1人にして』
「……お、かあさん……」
変わらない声と姿に、涙が零れる。
立ち上がって抱き着こうとすれば、私の手はスルッとお母さんの体をすり抜けた。
……分かってる。
これは私が見ている都合の良い夢だ……。
『莉子、おかしなこと考えちゃダメよ。大丈夫だから。貴方にはこれから、今まで以上に素敵なことが待ってる。莉子を幸せにしてくれる人が現れるから』
「……お母さん、私今まで頑張ってきたよ……。でも、お母さんがいなくなってから、幸せを感じたことなんて、1回もないの……」
『莉子は誰よりも優しくて、温かくて……。そんな莉子の良さを分かってくれる人がきっといるから。お母さん、莉子とはまだ会いたくないな……』
「……お母さん……」
『莉子……幸せになってね』
また風が吹くと、お母さんの姿は消えていた。