イケメン社長からの溺愛が止まらない
都心に戻ってきた私たちは、私の病院に行くことにした。
あらかじめ連絡していたこともあり、裏口に車を回すと、お父さんと医者と看護師が数名待っていた。
車から降りてきた私たちの姿を見ると、目を見開き走り寄ってくるみんな。
「事情は後で説明するから、とりあえずあの子を先に治療して」
「分かった。お前たちもシャワー浴びて待ってろ」
お父さんは、私たちにそう言うとストレッチャーで運ばれていった莉子ちゃんたちを追った。
私は基本的に、こういったことをしない。
『大病院の娘』や『跡取り』と思われないように、他の人たちと同じように扱ってもらうようにしている。
ちやほやされるのではなく、ミスをしたら怒られて、同じように段階を踏んで一人前の医者になる。
何もしないで医者になれたと馬鹿にされるのだけは嫌だった。
肩書きだけの医者で、脳がないと言われるのも嫌だった。
それは家族みんな同じ認識で、大勢いるこの病院で働いている人たち、そして関わる人たちも、私のことをフラットに見てくれる。
たまに敬語になったり、怒るのをためらう人もいるけど……。
だから自分の権力を使う日がくるなんて、思わなかった。
電話をした時、お父さんも驚いていた。
だけど、了承してくれたのは、ただならぬ雰囲気を感じたからだろう……。
莉子ちゃんのためなら、何でも出来そうな自分がいて、私はシャワー室に向かいながら心の中で笑った。