完璧な社長は、私にだけ素顔を見せて溺愛する
私たちは書店を出て、近くの落ち着いた雰囲気のカフェバーに向かった。
夜の街は相変わらず人が多く、ネオンが街を彩っている。
彼は自然に私の歩調に合わせてくれて、時折人波に押されそうになる私を、さりげなく庇うように歩いてくれる。
その気遣いに、私の心は温かくなった。
カフェバーは、隠れ家のような落ち着いた空間だった。
間接照明が柔らかく店内を照らし、ジャズの静かなメロディが流れている。
窓際の席に座ると、夜景が美しく見えた。
向かい合って座ると、彼との物理的な距離がぐっと近くなる。
テーブル越しに見る彼の横顔は、オフィスで見るよりもずっと柔らかくて、男性的な魅力に満ちていた。
「改めて見ると、お疲れのようですね」
桐原社長が、私を見つめながら言った。その視線に、私の頬が自然と熱くなる。
「そうですか?」
私は自分の顔を手で触った。きっと、疲れが顔に出ているのだろう。
「いえ、疲れているというより……何かを抱え込んでいるような。仕事で、お忙しいんでしょうね」
彼の洞察力に、私は少し驚いた。普段、同僚にもそんなことは言われない。
「桐原社長は、どうやってストレスを発散されるんですか?」
私は、話題を変えるように尋ねた。