完璧な社長は、私にだけ素顔を見せて溺愛する
机の上のスマホには、父親からのメールが届いている。
『三ヶ月後の麗華さんとの婚約発表の件で、明日話がしたい』
俺は、深いため息をついた。
もう決めたんだ。麗華との婚約など、断る。俺が本当に愛しているのは、新谷梓だけだ。
彼女の笑顔、彼女の困ったような表情、彼女の全てが愛おしい。
梓──君を失いたくない。
君の笑顔、君の全てが愛おしい。この想いがどこまで深くなるのか、もう分からない。
近々、父親に全てを話そう。政略結婚を断り、本当に愛する人と生きていく覚悟を伝える。
それが梓への誠意だ。彼女に嘘をついたまま、この関係を続けることはできない。
梓──俺は、君との未来を選ぶ。
たとえ父親に勘当されても、財閥の地位を失っても。
俺が本当に欲しいのは、君だけなんだから。