完璧な社長は、私にだけ素顔を見せて溺愛する
第5話 引き裂かれる想い
月曜日の朝、私はいつものように会社に向かっていた。
土曜日の圭佑さんとのデートが夢のような時間だったこともあり、心は軽やかだった。
『ここは、僕にとって特別な場所なんです。だから、梓さんだけに見せたかった』──あの言葉が、まだ胸の奥で温かく響いている。
オフィスに到着すると、いつもより騒がしい雰囲気に気づいた。同僚たちが休憩スペースに集まって、何かを見ながらざわめいている。
「おはようございます」
挨拶をすると、同期の岡下さんが慌てたような顔で振り返った。
「あ、新谷さん。おはよう……」
なぜか、彼女の表情が微妙に曇っている。他の同僚たちも、私を見ると妙にそわそわとした様子を見せた。
「どうかしたんですか?」
私が尋ねると、岡下さんが困ったような顔で手に持っていたタブレットを見せてくれた。
「これ、見た? 経済誌のゴシップ欄なんだけど……」