完璧な社長は、私にだけ素顔を見せて溺愛する
週末、私は圭佑さんと共に桐原家を訪れた。手入れの行き届いた日本庭園が広がる邸宅に、私は緊張を隠せなかった。
「大丈夫。俺がそばにいる」
彼の言葉に、少し心が落ち着いた。
玄関で出迎えてくれたのは、着物姿の圭佑さんの母親だった。
「圭佑、よく来たわね。そして……」
母親は私を優しい眼差しで見つめた。
「新谷梓さんね。ようこそ、いらっしゃいました」
「は、初めまして。新谷梓と申します」
私はドキドキしながら深くお辞儀をした。
「まあ、そんなに緊張しないで。さあ、どうぞ上がって」
母親の柔らかな笑顔に、私は少しほっとした。
◇
応接間に通されると、そこには圭佑さんの父親が座っていた。
先日、圭佑さんと対峙したという、桐原グループの会長。
その威厳のある姿に、私は思わず身が引き締まった。
「父さん、紹介します。新谷梓さんです」
「初めまして、新谷梓と申します。この度は──」
「座りたまえ」
父親の低い声に、私は慌ててソファに腰を下ろした。
父親は、じっと私を見つめている。その視線は鋭く、まるで私の全てを見透かすようだ。