完璧な社長は、私にだけ素顔を見せて溺愛する

「あなたも、でしたか」

静かに微笑みながら、桐原社長が口を開く。

その表情は、会社で見せるクールな仮面とは明らかに違っていた。

少し困ったような、そして妙に親近感のある笑顔。いつもの隙のない完璧さとは違う、どこか危うい魅力が宿っている。

「お互い、意外な一面がありますね」

彼の低い声が、普段よりもずっと近く感じられて、私の心臓は不規則なリズムを刻み始める。

「私も、まさか桐原社長がこのような場所におられるとは……」

「僕も同感です」

彼は、私の目を真っ直ぐ見つめる。

「いつも会議で的確な判断を下し、チーム全体を動かしていく新谷さんが……」

「が?」

「こんなにも魅力的だということに、今日初めて気づきました」

「!」

私の頬が一気に熱くなる。
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