隠れ溺愛婚~投資ファンドの冷徹CEOは初恋の妻を守りつくす~
 その後、森野が連れて行ってくれたのは、有名ホテルの三十階にあるレストランだった。
 森野にエスコートされながら歩いていると、チラチラと辺りから視線を感じる。

(やっぱり森野さんって、すごく人目を惹くんだ……)

 ふと見上げた先で、森野と視線が合い、茉結莉は顔を真っ赤にしてうつむいた。
 森野は慣れているのか、そんな茉結莉にくすりと肩を揺らしながらレストラン内を進む。
 案内されたのは夜景の見える窓際の席だった。

「素敵……」

 茉結莉はまるで自分が夜空に浮かんでいるような気持ちになりながら、食事の時間を過ごした。
 その後は同じフロアのバーに移り、ゆったりとしたピアノの生演奏を聴きながら、甘いカクテルを口にする。

 森野が茉結莉にくれた恋のプレゼントは完璧だった。
 突然再会した初恋の人に、こんなに大切にされたのだ。ここで満足しなければならない。

(でも……)

 茉結莉は次第に胸の奥の温度が上昇するのを感じながら、瞳をそっと持ち上げる。

(できるなら……もう一つだけ望みたい……)

 茉結莉が口を開きかけた時、腕時計に目をやっていた森野が軽く手を上げて、ウエイターを呼び止めようとした。
 きっと会計の声をかけるのだろう。

「森野さん、待って」

 茉結莉はそっとその手を掴むと、森野に潤んだ瞳を向ける。
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