隠れ溺愛婚~投資ファンドの冷徹CEOは初恋の妻を守りつくす~
 子供の頃からずっと一緒で、手が出る喧嘩だってしょっちゅうしていた。
 その大輔が、まさか自分のことを好きだなんて、考えたこともなかったのだ。

 大輔は身を乗り出すと、ぐいっと茉結莉に迫ってくる。

「ちょ、ちょっと待って! いきなり言われても困る……」

 茉結莉が身体を後ろにのけ反らせた時、コンコンと事務室の扉を叩く音が聞こえてきた。
 ビクッと顔を上げた茉結莉は、大輔の身体をぐっと押しのけると、慌てて扉の前に向かう。

「は、はい!」

 わざと大きな声を出して、ガチャリと扉を開けた茉結莉は、目の前にスラッと立つ人物を見てはっと息をのんだ。

「え……どうして、ここに?」

 茉結莉の口から小さく息が漏れる。
 今目の前に立っているのは、茉結莉が恋しくてたまらなかった人だ。

「森野さん……」

 そうつぶやいた途端、自然と涙が溢れてくる。
 愛しさを込めて呼びかけた茉結莉の声に、森野の眼鏡の奥の瞳がわずかに揺れた。

「茉結莉、どうしたんだよ」

 すると、茉結莉の後ろから大輔がグッと顔を覗き込ませてくる。
 茉結莉は慌てて涙を手で拭うと、次第に頬が熱をもって赤くなるのを感じながら、照れたように上目遣いで森野を見上げた。
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