隠れ溺愛婚~投資ファンドの冷徹CEOは初恋の妻を守りつくす~
「茉結莉、やっぱり逃げよう。お前を守る方法はそれしかない」

 大輔はそう言うと、茉結莉を外へ連れ出そうと強く手を引いた。

「大輔、待って」

 茉結莉は首を横に振ると、その場でぐっと踏みとどまる。

 幼い頃から一緒だった大輔の気持ちは有難い。それでも茉結莉は、この会社を捨てて逃げることなんてできないのだ。
 すると茉結莉の様子に、大輔がキッと怖い顔を上げた。

「お前、本気であいつと結婚する気なのかよ!」

 大輔の大きな声に、先を歩いていた三砂が足を止めて振り返る。
 三砂は父に先に行くように促すと、静かにこちらへと戻ってきた。

「な、なんだよ」

 背の高い二人が向かい合い、大輔は今にも飛びかからんばかりにいきり立っている。
 血の気の多い大輔ならば、本気で手を出しかねない。

「大輔、やめて!」

 茉結莉が慌てて二人の間に割って入ろうとしたその時、三砂が小さくふっと息をついた。

「君は何もわかってないな、営業の山下大輔くん。ここを捨てて逃げることを、彼女が本気で選ぶと思うのか?」

 三砂の落ち着いた声に、大輔がくわっと目を開く。

「お前に何がわかるんだ!」

 大輔は食ってかかるが、三砂は表情一つ変えずに大輔を見据えた。
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