隠れ溺愛婚~投資ファンドの冷徹CEOは初恋の妻を守りつくす~
ガコンガコンと心地のよい機械音が身体に響く。
すると、しばらくその音を聞いていた茉結莉に、岩竹がゆっくりと顔を向けた。
「うちはね、もう今にも潰れそうな工場だったんですよ。でもある日、三砂さんが訪ねて来られましてね。御社の技術力は素晴らしいから、一緒にスプリングを作ってみませんか? って言うんですよ」
「スプリングを?」
「えぇ。でも昔から続く事業を今更変える勇気はないし、そもそも投資ファンドなんて怪しいでしょう? 初めは顔を見る度に追っ払ってたんです」
がははと笑う岩竹に、茉結莉はつられてくすくすと肩を揺らす。
「でもね、あまりに熱心なんですよ。だから、もうどうなってもいいと話にのったんです。それが三砂さんとの出会いでした」
「そうなんですね」
茉結莉は初めて聞く三砂の昔の話に、驚いたようにうなずく。
きっと三砂のことだ。この工場の技術力を見て、カラトリーではなくスプリング製造に移行した方が飛躍的に成長できると確信したのだろう。
すると岩竹が、そっと茉結莉の前に顔を覗かせた。
「三砂さんはね、元々職人になりたかったらしいんですよ」
「え……」
茉結莉の口から思わず声がでる。
すると、しばらくその音を聞いていた茉結莉に、岩竹がゆっくりと顔を向けた。
「うちはね、もう今にも潰れそうな工場だったんですよ。でもある日、三砂さんが訪ねて来られましてね。御社の技術力は素晴らしいから、一緒にスプリングを作ってみませんか? って言うんですよ」
「スプリングを?」
「えぇ。でも昔から続く事業を今更変える勇気はないし、そもそも投資ファンドなんて怪しいでしょう? 初めは顔を見る度に追っ払ってたんです」
がははと笑う岩竹に、茉結莉はつられてくすくすと肩を揺らす。
「でもね、あまりに熱心なんですよ。だから、もうどうなってもいいと話にのったんです。それが三砂さんとの出会いでした」
「そうなんですね」
茉結莉は初めて聞く三砂の昔の話に、驚いたようにうなずく。
きっと三砂のことだ。この工場の技術力を見て、カラトリーではなくスプリング製造に移行した方が飛躍的に成長できると確信したのだろう。
すると岩竹が、そっと茉結莉の前に顔を覗かせた。
「三砂さんはね、元々職人になりたかったらしいんですよ」
「え……」
茉結莉の口から思わず声がでる。