隠れ溺愛婚~投資ファンドの冷徹CEOは初恋の妻を守りつくす~
 茉結莉は腕を伸ばすと、三砂の手を取り、力いっぱいぎゅっと握りしめた。

「慶一郎さんは、町工場や職人を守りたくて、ファンドを立ち上げたんですよね。そんなあなたが、町工場の敵であるはずがない」
「茉結莉?」
「私、今日、岩竹さんに会ってきたんです」

 茉結莉の出した名前に、三砂ははっとするように目を開く。
 茉結莉は三砂の隣に腰を下ろすと、静かに口元を引き上げた。

「私も世間の噂に流されて、慶一郎さんのことを誤解していました。でもあなたは、職人を目指していたあの頃から、何も変わってはいなかった。その事に、やっと気がつきました」

 茉結莉の落ち着いた声を、三砂はじっと聞いている。
 茉結莉は次第に潤んでくる瞳を感じながら、三砂を見つめた。

「あなたに多くの工場や職人が救われました。私もその一人です。皆の大切な想いを守ってくれたのは、あなたです」

 すると茉結莉が最後まで言葉を言い終らない内に、茉結莉は三砂にきつく抱きしめられる。

「け、慶一郎さん……?」

 顔を真っ赤にした茉結莉が顔を上げようとすると、三砂はさらに茉結莉をきつく抱きしめた。
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