電車の向こう側。【完結】





聖は鍵盤をなぞりながら続けた。






「俺は逃げてきた。向こうの世界から、記者やファンや、プレッシャーを与え続ける両親からも。
息するのも辛い、お前にわかるか?
もう、全てを投げ捨てて、ただの高校生として過ごしたかった。だから逃げてきた。だから強く願った!『時が止まればいいのに』って!」






未来の心臓が跳ねた。







——同じだ。
自分も、あの金色の電車に乗る直前、
同じことを願っていた。






(……もしかして、私たちって…。)










「まぁおおかた、それでこの世界にたどり着いたんだろうな。」





二人の間に沈黙が落ちた。

夕陽が窓から差し込み、ピアノの表面を金色に染める。

まるであの電車の光のようだった。














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