解けない魔法を このキスで
今夜のクリスマスパーティーは、日頃から『フルール葉山』を支えてくれている関係者や企業を招いての立食パーティーだった。
葉山という土地柄そこまで規模の大きなパーティーでもなく、ゲストも地元の人がメインで人数も100人程度だ。
ホールは既にほとんどのゲストが顔を揃えていて、早速支配人が壇上に上がり挨拶する。
高良の来場は非公式の為、副社長として登壇する予定はなく、個々に挨拶回りをするつもりだった。
配られたシャンパンを手に、皆で乾杯する。
あとは思い思いに食事と歓談の時間となった。
「君はここにいて。あ、なにか苦手な食べ物はある?」
「いえ、なんでも食べます」
「ああ、そうだったな」
クスッと思い出し笑いをしてから美蘭を窓際のソファに促し、ビュッフェカウンターでローストチキンやピンチョスなどを盛りつけて戻る。
「どうぞ」
「ありがとうございます。美味しそう! クリスマスメニューですね」
「あとでケーキもあるから」
「はい! 楽しみです」
嬉しそうな笑みを浮かべてから、「いただきます」と美蘭は料理を食べ始めた。
高良はついついその様子をうかがってしまう。
美しいフェイスラインに、長くて白い首筋。
綺麗な鎖骨と滑らかな肌の胸元。
耳元できらめくピアスが揺れ、伏し目がちな横顔は大人の女性の魅力に溢れている。
気を抜けば手を伸ばし、美蘭の頬に触れそうになって、懸命に自制した。
「ゲストの皆さん、とっても華やかな装いですね」
美蘭がホールを見渡して言う。
「あのドレス、アシンメトリーのデザインがとってもオシャレ。生地の重ね方も素敵だな」
「こんな時まで職業病?」
「ふふっ、そうですね。ついつい」
照れたように笑う美蘭に、高良も笑みを浮かべた。
「君のドレスこそ素晴らしい。これも1から自分で?」
「あ、はい。なんだかこういうの着慣れなくて、ソワソワしちゃいますけど」
「そんなことはない。よく似合っている」
「ありがとうございます」
控えめな笑顔が可憐で、これ以上二人きりでいるのは身が持たない。
高良は美蘭を促して立ち上がった。
「ソルシエールとして君を紹介したいんだ。一緒に回ってくれるか?」
「はい、かしこまりました」
高良は美蘭を連れて、顔見知りのゲストに声をかけに行く。
まずは『フルール葉山』で館内の和風装飾や生け花、婚礼の際の着物着付けをしてくれる年輩の女性に挨拶した。
「まあ、あなたがあの有名なソルシエールのウェディングドレスを作っているの? お目にかかれて光栄だわ」
「いえ、そんな。こちらこそ光栄に存じます。白石と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
にこやかに名刺を交換しつつ、まさか知られていたとは、と美蘭は驚きを隠せないようだった。
そこに、ここバンケットホールで社交ダンス教室を開いている女性講師がやって来た。
「副社長、こんばんは。今夜はまた素敵なレディとご一緒なのね。紹介してくださる?」
華やかなロングヘアの40代の女性講師は、パートナーの男性と腕を組んで、美蘭に笑顔を向ける。
「ドレスブランド ソルシエール代表の白石さんです」
高良が紹介すると、またもや「ソルシエールって、あのウェディングドレスの? こんなに若くて綺麗なお嬢さんが作ってるのね」と驚かれた。
そのあとも色んな人に声をかけられ、その度に美蘭は笑顔で名刺交換していた。
葉山という土地柄そこまで規模の大きなパーティーでもなく、ゲストも地元の人がメインで人数も100人程度だ。
ホールは既にほとんどのゲストが顔を揃えていて、早速支配人が壇上に上がり挨拶する。
高良の来場は非公式の為、副社長として登壇する予定はなく、個々に挨拶回りをするつもりだった。
配られたシャンパンを手に、皆で乾杯する。
あとは思い思いに食事と歓談の時間となった。
「君はここにいて。あ、なにか苦手な食べ物はある?」
「いえ、なんでも食べます」
「ああ、そうだったな」
クスッと思い出し笑いをしてから美蘭を窓際のソファに促し、ビュッフェカウンターでローストチキンやピンチョスなどを盛りつけて戻る。
「どうぞ」
「ありがとうございます。美味しそう! クリスマスメニューですね」
「あとでケーキもあるから」
「はい! 楽しみです」
嬉しそうな笑みを浮かべてから、「いただきます」と美蘭は料理を食べ始めた。
高良はついついその様子をうかがってしまう。
美しいフェイスラインに、長くて白い首筋。
綺麗な鎖骨と滑らかな肌の胸元。
耳元できらめくピアスが揺れ、伏し目がちな横顔は大人の女性の魅力に溢れている。
気を抜けば手を伸ばし、美蘭の頬に触れそうになって、懸命に自制した。
「ゲストの皆さん、とっても華やかな装いですね」
美蘭がホールを見渡して言う。
「あのドレス、アシンメトリーのデザインがとってもオシャレ。生地の重ね方も素敵だな」
「こんな時まで職業病?」
「ふふっ、そうですね。ついつい」
照れたように笑う美蘭に、高良も笑みを浮かべた。
「君のドレスこそ素晴らしい。これも1から自分で?」
「あ、はい。なんだかこういうの着慣れなくて、ソワソワしちゃいますけど」
「そんなことはない。よく似合っている」
「ありがとうございます」
控えめな笑顔が可憐で、これ以上二人きりでいるのは身が持たない。
高良は美蘭を促して立ち上がった。
「ソルシエールとして君を紹介したいんだ。一緒に回ってくれるか?」
「はい、かしこまりました」
高良は美蘭を連れて、顔見知りのゲストに声をかけに行く。
まずは『フルール葉山』で館内の和風装飾や生け花、婚礼の際の着物着付けをしてくれる年輩の女性に挨拶した。
「まあ、あなたがあの有名なソルシエールのウェディングドレスを作っているの? お目にかかれて光栄だわ」
「いえ、そんな。こちらこそ光栄に存じます。白石と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
にこやかに名刺を交換しつつ、まさか知られていたとは、と美蘭は驚きを隠せないようだった。
そこに、ここバンケットホールで社交ダンス教室を開いている女性講師がやって来た。
「副社長、こんばんは。今夜はまた素敵なレディとご一緒なのね。紹介してくださる?」
華やかなロングヘアの40代の女性講師は、パートナーの男性と腕を組んで、美蘭に笑顔を向ける。
「ドレスブランド ソルシエール代表の白石さんです」
高良が紹介すると、またもや「ソルシエールって、あのウェディングドレスの? こんなに若くて綺麗なお嬢さんが作ってるのね」と驚かれた。
そのあとも色んな人に声をかけられ、その度に美蘭は笑顔で名刺交換していた。