冷酷社長の極上笑顔は私が独り占めさせていただきます
「もちろん、存じ上げておりますとも!」
「じゃあ、言ってみて」

 社長は余裕たっぷりな表情で笑っている。
 もうその顔すら素敵で、一秒ごとに心のカメラのシャッターを押しまくっていた。全部保護して永久保存したい。

「……光輝さん」
「うん。何?」

 私は思い切って願いを口にしようと思う。今ならきっと言える。
 心臓がドキドキしすぎて壊れそうだ。

「明日、デートしませんか?」

 光輝さんが頬杖を外して、姿勢を正す。
 そして急に私の両肩に手をかけて、自分の胸に優しく引き寄せた。
 私は光輝さんのぬくもりに包まれて胸がいっぱいになる。とげとげしてぐちゃぐちゃになっていた私の心は、少しずつ溶けていって、甘い綿菓子のようなふわふわなもので満たされた。

 そのうち光輝さんの指が私の頬を撫で、顎にかかる。
 視線を上げたら自然と間近で彼の顔を見ることになって、急に恥ずかしくなった。
 でも目が離せない。せっかくこんなに近くで見られるなら、と私は彼の目を見つめる。
 切れ長の目にまつ毛が影を作っていて、瞬きのたびに瞳が揺れて美しかった。

 その彼の視線が私の唇に落ち、私は目を細める。
 次の瞬間、唇に柔らかいものが触れた。二度、三度……優しいキスが降ってくる。

 鼻先がくっつくくらいの距離で、光輝さんが言った。

「デートしよう。明日も、明後日も……」
「はい。ぜひ!」

 返事をした途端、全身がボンと熱くなる。
 これは夢じゃないよね、と何度も自問した。
 
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