冷酷社長の極上笑顔は私が独り占めさせていただきます

7 冷酷な社長の笑顔は私が独り占めさせていただきます

『よかった。後藤さんを社長に推薦したのは私なのよ』
「えっ、大迫さんが、私を……?」
『そう。でもね、実は社長もあなたを秘書に……と考えていたみたい』

 私は驚いて何も言えなくなってしまった。
 なぜ私が社長室秘書係に任命されたのか、まったく心当たりがなかったというのに、知らないところでは社長も大迫さんも私を推してくれていたなんて――。
 
 でもどうしてだろう。
 その疑問に答えるように、大迫さんが続けた。

『後藤さんは適切に自己主張ができる人だという点で、社長と私の意見が合致したのよ』
「自己主張、ですか?」
『自己主張ってできないのも困るし、強すぎるとマイナスに働くこともある。必要なときに、周囲に配慮して、相手に受け入れられやすい形で意見を言えるというのは、とても貴重な才能だと思うわ』

 適切に自己主張をしてきた自覚はまったくないけれども、高く評価されていたことが素直にうれしかった。
 でも、あくまでも適切の範囲だったとしても、社長は本当に自己主張をする秘書を求めていたのだろうか。

「社長にとっては自分の言いなりになる秘書のほうが都合がいいのではないですか?」
 
 身も蓋もない言い方だと思ったが、大迫さんは気を悪くすることもなく、むしろ愉快そうに答えてくれた。
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