素直になれないふたり
遠い夏の恋
 大学の入学式の時、周りの子たちを見て、自分は場違いのように感じた。
 ド田舎の県内トップの進学校から、都内の国内最高峰の女子大に合格した時点では、頭の中には明るい未来しか描いていなかった。
 田舎娘であることをバカにされたくなくて、入学式の前に美容院に行き、メイクも覚えて、大学デビューとでも言わんばかりだったが、私のように気合の入りすぎた派手な子など他に居なかったのだ。
 そういう派手な子は、私立に多いということは、少し経ってから知った。
 入学式の帰り道では、よその大学の男の子たちによるサークルの勧誘が凄まじく、ちょっと引いてしまうほどだった。

 私にとって、人生が翳り始めたのは、大学入学から間もない頃。
 高校時代までは、テスト前の丸暗記と、穴埋め問題集だけで、勉強はどうにでもなった。
 そこまで必死で頑張らなくても、まあまあの成績をキープできていたのに⋯⋯。
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