素直になれないふたり
「泳ぎはあんまり得意じゃなくてぇ」
 サチが、最初に声をかけてきた男の子に媚びたような口調で返した。
「みんな綺麗だけど、何してる人たち?俺たちは、医学部の二年」
 男の子の言葉に、
「私たちはCAよ」
 アユが平然と言い放った。
 本当に大嘘ついたよ!この子は⋯⋯と思ったが、医学部の男の子たちは、明らかに喜んだように見えた。
「空は飛べても泳げないなら、泳ぎを教えてあげようか?」
 一人が言い、私たちはごく自然に三組に分かれて行動することになった。
 サチとアユがさっさと男の子とペアになり、気になっていたサーファー風の彼と私が最後に残った形だった。
「もし、俺でよければ⋯⋯」
 見た目だけならば、かなり遊んでいそうなのに、他の二人と比べると、女慣れしていないような感じがまた気に入った。
「あなたこそ、私なんかでよかったの?」
 自信のなさから、つい、卑屈な言い方をしてしまった。
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