素直になれないふたり
 私にとっても、10代最後の夏。
 だからと言って、ドラマチックな出来事など我が身に起こるとは思えなかった。
 賑わうビーチで、マイルドヤンキー風の男たちが声をかけてきては、私たちは素っ気なくあしらった。
 サチらにしてみれば、声をかけてくる男と彼氏のキャラがかぶりすぎていて興味がないとか。
 出会いには期待できそうもないね、と言い合っていた時のこと。
「泳がないの?」
 ただ寝そべってばかりいた私たちに、同世代ぐらいの三人組の男の子が声をかけてきた。
 私にしてみれば、ナンパする男なんてどうせみんなろくでもないと思っていたが、三人のうちの一人に、思わずドキリとした。
 小麦色の肌で、背も高く、鍛えられた美しい上半身、端正な顔立ちが眩かった。サーファー風というのだろうか。
 あとの二人も、ルックスは悪くはないのだが、私好みではなかった。
 思わず、友人らと目だけで会話をした。
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