素直になれないふたり
「そうね。子供の頃に通ってたスイミング教室で、飛び込むのが怖くて逃げ出して、即やめたぐらいだから」
 本当のことを話すと、ジローはクスクスと笑った。
「じゃあ、浮き輪を借りて、浅瀬のほうで過ごそうか?」
「そうね」
 しばらく海で泳いで⋯⋯というより、単にプカプカ浮いて過ごしたあと、またデッキチェアーに戻ってあれこれ話した。
 ふと、ジローがあまり私のことを見ていないことに気づき、
「なんか⋯⋯さっきから、目を合わせてくれないのね」
 またしても、そんな卑屈なことを言ってしまった。
「え!?ごめん。その、なんていうか⋯⋯目のやり場に困るというか、あまり見ちゃいけない気がして。いや⋯⋯眩しすぎるのかな」
 そう言われ、若いうちしか着られないからと、かなり大胆なビキニを選んで着ていたことに気づく。
 この人は、友達と一緒にナンパする割に、さっきからやけにシャイなんだな⋯⋯とも。
< 24 / 57 >

この作品をシェア

pagetop