素直になれないふたり
 ナンパする男なんて⋯⋯という思いと、かなり好みのルックスなのよねぇ⋯⋯という相反する思いで、ジローとどんな風に接していいのかと悩んだ。
 しかし、そんな悩みはあっという間に消え、ジローと過ごす時間は、ただ楽しく輝けるものへと変わっていった。
 互いに、近くのビーチハウスにしばらく滞在しており、みんなで過ごすこともあれば、ジローと二人きりで過ごすこともあった。

 ある晩、ジローと二人で、誰も居ない満月の浜辺を、腕がぶつかりそうな距離で歩いていた。
 ジローは、学歴自慢は全くすることもなく、普段どう過ごしているかや、地元に住んでいた頃の話などを聞かせてくれた。
「父は出稼ぎの外国人で、日本人の母も裕福な育ちではない上、体が弱くて内職が精一杯で。だから、貧しい子供時代を過ごしたけど、毎日が幸せだったよ。結婚するなら両親のような夫婦になるのが夢、なんてね⋯⋯」
 そんなことも言っていた。
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