聖女王子とスパダリ女騎士 ~王女の護衛のはずが、寵愛を受けています~
「母は、おりを見て俺が男だと公表する予定だった。病弱な男子に願掛けで女装をさせて健康になったら女装をやめる、そういう地方もあるから、願掛けをしていたと言えばいいと考えていたようだ。実際、俺は病弱だからな」
が、その「おり」を見つけられないまま、天へと旅立ってしまったのだ。

 先年、第二王妃は身まかられた。病死だった。
 残された王女の行く末を心配する声は多かったが、このところは王女の婚姻先を巡って論議が活発となっていた。
 王女は病弱を理由に婚姻を断っている聞いたが、実際には男であるがゆえだったのだろう。

「国王陛下すらご存じではない。バレれば最悪、俺の命はない。国王を謀ったのだから……」
 言いかけた彼がふらりと倒れかけ、リーズロッテの拘束が解けた。
 彼女は慌てて駆けつけ、彼を支える。

「まずはベッドにおかけください」
 リーズロッテに支えられてベッドに腰掛け、彼はため息を吐く。
 彼女は彼の前に跪いてうつむき、彼の言葉を待った。

「……お前、怒ってはいないのか」
「なぜでございましょう」

「王女であると謀ったこと。いきなりお前を魔術で拘束したこと」
「御身を守るための必然なれば怒りはいたしませんし、この大事を外にもらすことはございません。が、忠誠への疑義に対しては業腹に存じます」
 答えたリーズロッテは、ふいに顔を上げた。

「私は国家に忠誠を誓いました。それをあなた様ただおひとりにたやすく鞍替えするなど騎士の名折れ。私は安くはございません。忠誠がほしくば、それに見合うお方である証明をなさってくださいませ」
「意外にプライドが高い。いや、だからこその騎士か」

「お誉めと受け取っておきます」
 リーズロッテの言葉に、くく、と彼は笑う。
「ならばそばで見るがいい。俺がなにをなすのか。そうしてお前の忠誠は俺のものだ」
 セレスティアは不敵に笑って見せ、リーズロッテはまっすぐにその瞳を見つめ返した。
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