聖女王子とスパダリ女騎士 ~王女の護衛のはずが、寵愛を受けています~
近衛騎士となったリーズロッテの初めての任務は、夜会に出席するセリスティアの警護だった。とはいえ、他の近衛と一緒になって会場に配備され、傍にはべるわけではない。
支給された近衛の衣装は派手派手しく祭典の場には似つかわしいが、飾りが多くて警護には動きにくい。実際、不審者と近衛が戦う場面などあってはならない事態ではあるし、その場合はすでに警護の敗北ではある。が、最後の砦である近衛の衣装がこうも動きづらいものであるとは。
不満を持ちつつも担当を確認していたときだった。
「リーズロッテ中尉。殿下のお呼びだ」
まもなく殿下が夜会の会場に入ろうかという時間だ。こんなときになんの用だというのか。
急いで広間近くの休憩室に参上すると、セリスティアは一部の隙もない微笑でリーズロッテを出迎えた。
「私のエスコートを予定していた公爵が急病で来られなくなりました。代理のエスコートをあなたに命じます」
「私が!?」
男爵で、しかも女。近衛の衣装のまま。そんな自分がエスコートなど。
「時間がありません。異議は後で聞きます。下手な者を選ぶより、女であるあなたがエスコートしたほうが邪推を呼びません」
セリスティアが手を差し出すので、リーズロッテは慌ててその手をとる。
「しかしエスコートなどしたことがなく……」
することはおろか、されたこともない。リーズロッテは幼い頃から騎士を目指して士官学校に入り、社交界へのデビューもしていないのだ。