聖女王子とスパダリ女騎士 ~王女の護衛のはずが、寵愛を受けています~
「私は殿下が病気を自在に操る魔術の使い手であることを拝見して、感心しております」
「素直に仮病って言えよ」

「あの場を切り抜けるには適切でございました」
「病弱なのは本当だからな。健康なお前が羨ましい」

「それだけが取り柄でございますので」
 リーズロッテの答えに、セリスティアはため息で返した。

「お前はダンスを踊らないのか? 武器がうんぬんと言っていたのが聞こえたが、あれは言い訳だろう?」
「実は踊ったことがありませんので」

「お前なら、ダンスでも人気者になるだろうな」
「そうでしょうか」

「存外、自分のことがわかってないな。艶やかな黒髪にアメジストのような紫の瞳。整った顔立ち。男よりも男らしいのに男くささがない。女性の好きそうな感じだ」
「あー。前にも隊の者に言われたことがあります」

 酔っぱらった仲間に、女性にもてて羨ましい、と絡まれたことがあった。魔獣討伐や警備で街の人たちには顔を知られており、女性たちから花束をもらった際に男性陣からやっかまれたのだ。

「お前の初めてを俺がもらってもいいか?」
 いきなりどういう意味だ!?

 唖然とするリーズロッテの手をセリスティアがとる。
「ワルツだ。三拍子で合わせるだけでいい」
 城内にかかる曲に、彼が言う。

 ダンスのことか、と胸を撫でおろしたリーズロッテは、おずおずともう片方の手で彼の手を取る。
 彼が女性パートを踊るので、リーズロッテは男性パートを踊った。とはいえ彼の動きに合わせるのが精いっぱい。セリスティアの足を踏まないように、もたつく足を必死に動かす。
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