聖女王子とスパダリ女騎士 ~王女の護衛のはずが、寵愛を受けています~
 それでも最後にはなんだか楽しくなっていたのが不思議だった。
 曲を終えると、すぐ近くに上気した彼の顔があり、リーズロッテはどきりとした。

「久しぶりに楽しかった。なぜだろうな」
「それは重畳でございます。……が、失礼いたします」
 リーズロッテは彼のおでこに手を当てる。

「熱があるようですね。休憩室で休まれますよう」
「仕方ないな……確かに、少し暑い」
 リーズロッテは彼を支え、場内に戻る。

「王女殿下! どうなさいましたか!」
 ドルシュがすかさず駆け寄って来る。
「なんでもございません。お気遣いなく」
「体調がお悪いのでしたら私がお運びいたしましょう」
「それには及びません」
 セリスティアは断りを入れ、リーズロッテを伴って休憩室に向かう。

 休憩室に入った直後、リーズロッテは念のために部屋に鍵をかけた。
 寝椅子に横たえさせ、さきほどのドルシュを思い出す。妙に興奮していたし、すぐに寄って来たのが不自然な気がする。いつもは気遣いとは程遠いのに。王女殿下が相手だからだろうか。

「……暑い」
 セリスティアが胸元をほどくから、リーズロッテは慌てた。
「いけません!」
 王族専用の休憩室だからといって安全ではない。胸元をくつろげた彼を見て男であることが露見したら大変だ。

「暑いんだ」
 ほてった顔を向ける彼のうるんだ瞳が妙になまめかしく見えて、リーズロッテは焦った。
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