聖女王子とスパダリ女騎士 ~王女の護衛のはずが、寵愛を受けています~
「やられた……たぶんこれは媚薬だ」
「媚薬?」
 リーズロッテはオウム返しにつぶやく。聞いたことはあるが、飲んだことはもちろん、飲んだ人を見たこともない。

「たぶん、あのときのワインだ……クソ王太子が!」
 セリスティアは胸元からペンダントを出した。ロケット状になっているそこからひと粒の錠剤を取り出す。
「解毒薬でございますか?」
「そうだ……こういうことは初めてじゃない」
 それを口にしようとして彼は取り落した。

「ひと口しか飲んでないのに……かなり強いやつを入れやがったな」
 拾おうとする手が震えていて、セリスティアは代わりに拾って彼に渡す。
 彼のために水差しから水を入れ、先にひと口を飲む。変わった味はしないから、これには毒のたぐいは入っていないだろう。

 彼に渡すと、彼の手は薬の影響なのか極度に震えていて、まともに水を飲むことはできなさそうだ。コップからは水がばしゃばしゃとこぼれるばかりで、口の中には入っていかない。薬を先に口に入れようにも、再び取り落してしまう。

「ああ、くそ……」
 セリスティアはリーズロッテをぎろりと見る。
「お前、俺に飲ませろ」
「え!?」
 薬を拾ったリーズロッテは目を丸くして彼を見た。

「しかし……」
「なにをためらう。俺に薬を飲ませるだけだ」
 はあはあと息を切らすセリスティアを見て、リーズロッテはごくりと唾を飲み込む。
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