聖女王子とスパダリ女騎士 ~王女の護衛のはずが、寵愛を受けています~
「俺をこのまま苦しめたいのか。お前は近衛、俺を守るために存在するんだろうが」
 脅すように言われ、リーズロッテは覚悟を決めた。
「殿下、お許しを」
 そう言うリーズロッテは片手でセリスティアの顎を支え、彼が開けた口に薬をそっと入れる。やわらかい唇が触れて、リーズロッテの心臓が跳ねた。

 男性であっても唇はこのようにやわらかいものなのか。それとも、セリスティアが特別なのか。
 どきどきするのを隠してコップから水をあおって口に含むと、彼にくちづけるように水を飲ませる。

 驚いた彼は、だが、素直にごくん、と飲み干した。
 良かった、と思った直後だった。
 リーズロッテの手がぐいっと引っ張られ、グラスが落ちてガチャンと割れた。

 気が付くとセリスティアに組み敷かれている。

「殿下、なにを!?」
「火をつけたのはお前だ」
 らんらんと怪しい輝きを放つ目はまるで獣だった。たおやかな姿ばかりを見ていたリーズロッテはただ驚く。

「キスひとつで、こうも情欲がそそられるとは知らなかった」
「殿下、冷静になられてください」

「知らん。お前は俺の近衛、つまり俺のものだ。ふたりきりで部屋に鍵をかけた。身を挺する覚悟があったのだろう?」
「……後悔なさいますよ」

「知るか」
 彼の手がリーズロッテの胸元に伸びた直後。
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