聖女王子とスパダリ女騎士 ~王女の護衛のはずが、寵愛を受けています~
 リーズロッテはがばっと彼を投げ飛ばした。
「いってえ!」
「ちゃんと頭を打たないように加減いたしましたよ」
 平然と言うリーズロッテに、セリスティアは床に座って頭をぶんぶんと振る。

「……くそ。一瞬、我を忘れた」
 立ち上がったセリスティアは、再度、寝椅子に横になる。

「薬のせいでございます。見張っておきますから、どうぞごゆるりとお休みを」
「男を投げ飛ばすとか、それでも女か」

「騎士をしておりますれば、男も女も関係ありませんので。今日は抗魔術具を持っておりますので、魔術による拘束もききませんよ」
「ぬかりはないな。さすが俺の近衛」
 ふう、と息をはいてから、彼は目を細めてリーズロッテを見る。

「というか、そもそも口移しで水を飲ませるやつがあるか。コップを持って飲ませてくれればよかっただろうが」
「あ……」
 盛大な勘違いに、リーズロッテは慌てる。

「も、申しわけございません!」
「謝るのか。責めるのではなく……女にとってキスは特別だろうに」

「私はすでに女を捨てましたゆえ」
「気丈なものだ」
 苦笑を見せたセリスティアは体力が尽きたのか、そのまま意識を手放した。

 リーズロッテはため息をつき、その寝顔を見やる。
 こうしていると、たおやかな女性にしか見えない。
 リーズロッテは彼の胸元を整えてから、その髪をそっと撫でる。
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