フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~

第11話 魔族令嬢は、王弟殿下を助けたい

「アルヴェリオンを取り戻したい」

 静かに告げたエドワード様の言葉が、何度も脳内で繰り返された。

 私を見つめる瞳には、いつもと違う光が宿っている。なにか、覚悟を宿らせた厳しい眼差しは、悲しみもはらんでいるようだった。

 胸が苦しい。こんな顔をさせたくない……
 いつものように優しく微笑んでいて欲しい。どうすれば、あの笑顔を取り戻せるのかしら?

 深く息を吸い、「どういうことですか?」と真意を問えば、エドワード様の瞳はさらに厳しさを増した。

「この国は一見平和に見えるだろう。しかし、今、危機に瀕している」
「危機……でも、街は賑わっていましたわ」
「ああ、そうだな。私はその街を、民の笑顔を守りたい」

 つい先日、お忍びで見て回った城下の様子を思い浮かべた。
 人の笑顔で溢れていた。物資も豊富で、争いもない。平和そのものに見えたわ。なのに、国が危機に瀕している。

 つまり、見えざる敵がいるということ?
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