フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 エドワード様は嬉しそうに笑って頷く。そうして、中庭の中央にあるパーゴラを指差した。
 そこでは薔薇の蔦が絡まり、赤い花が美しく咲き誇っている。

「あの薔薇の花びらが使われる。薔薇の名は、アルヴェリオンの母だ」
「アルヴェリオンの母?」
「戦争が絶えなかった時代、城で働く女たちの心を癒し、食糧にもなるあの薔薇を、当時の王妃が植えたんだ」
「……その方を称えて名付けられたのですね」
「ああ。それから、歴代の王妃が薔薇を植えるようになった」

 なるほど。人族の国にも戦争の歴史があるのね。

 未だ魔物と争いの絶えないデズモンドでも、いつか『アルヴェリオンの母』のように、美しい習わしができるのかしら。

 命を守る棘ではなく、その花が希望や救いとなって語り継がれている事実が、少しだけ羨ましく思えた。

 私は魔王様の武器、フェルナンドの薔薇。
 このアルヴェリオンでどう輝けばいいのかしら。

 庭を見渡し、小さくため息をつくと、エドワード様の大きな手が、そっと肩に触れた。
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