フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~


 戦場から生きて戻った騎士は姫の懐妊を知り、裏切られたと絶望する。
 魔法が解けた姫は、全て継母の罠だったと知り、耐えることができずに塔から身を投げてしまう。

 その夜、空に赤い星が二つ流れたのを多くの人が目撃し、きっと、姫と御子の魂だろうと、泣いたという。

 姫の死と継母の罠を知った騎士は、姫が最期まで握りしめていた瑠璃のペンダントを胸に、魔女である継母を討ち取った。

 こうして赤い瑠璃は、恋の試練に耐える恋人たちのお守りとなった。夜空に輝く赤い星は、瑠璃姫の涙だと今もなお語り継がれている。

 ◇◆◇

 サフィアは時折、言葉をつまらせながら、物語を掻い摘んで教えてくれた。

 最後まで話しを聞き、私は胸の内で「そういうことか」と呟いた。

「リリアナ様。私は……あのページがエリザ様の心の叫びとしか思えないのです」

 祈るように胸の前で手を組むサフィアは、涙をこらえているようだった。
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