フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 確かに、私と彼の部屋と似た作りだわ。

 寝室が扉で繋がっている。ヴィアトリス王妃の部屋は、入ってすぐが応接室で、その先に私室、寝室がある。国王の寝室とは反対に位置する小部屋は、衣装がしまってあるワードロープだろう。

「寝室を繋ぐ扉の鍵は、王と王妃しか持っていない」
「それも、私たちと同じなのね。隠し扉はあるのかしら?」
「王妃の部屋にはない」
「そう……だいたいの見取り図はわかったわ」 

 部屋に入れば、当然だが逃げ場がなくなりそうね。ロベルト王がこちらの味方になってくれれば、話は別だけど。

 ワードロープにヴィアトリス王妃の息がかかった者が潜んでいる可能性もあるし、応接室の横にある侍女たちの控室だって危ないわ。
 万が一の逃走経路を確保するのは難しいかもしれない。どうしたらいいか……

「兄上を説得する」
「……え?」
< 167 / 275 >

この作品をシェア

pagetop