フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「私たちは、兄上の部屋で待機する。そうすれば、君の引き出した情報をすぐさま兄上に見せることができる。それに、万が一の時はすぐ駆け付けることもだ」

 エドワード様の指が、寝室を繋ぐ扉をあたりをコンコンっと叩いた。

「そう簡単に、ロベルト王が協力してくれるかしら?」
「上手くやるから、任せてほしい」
「……エドがそういうのなら」

 初めてロベルト王に会った日のことを思い出す。
 覇気のないお顔だった。体調も思わしくなさそうだったわ。あの姿を見れば誰だって、ヴィアトリス王妃の傀儡だと察するだろう。

「兄上は本来、とても責任感の強いお方だ。今は王妃のことを信じきっているが……そこを上手く使えば良い」
「どういうこと?」
「夜の茶会の実態を、兄上は全く知らない。問題だろう?」
「それは、大問題だわ……ロベルト王は確かめもしないのですか?」
「ああ。今の兄上は、判断力が低下しているからな。王妃のいうがままだ。だから、こちらもそこを利用する」

 真剣な眼差しのエドワード様は深く息を吸った。
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