フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く～政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る～

「先日のお茶会では、ありがとうございました。夫人のお言葉に救われました」
「それはよかったわ。ヴィアトリス王妃の威光に委縮してしまう令嬢が多いので、心配していたのよ」
「……威光、ですか？」
「ええ。王妃としての輝きは必要だと思いますけどね。それで王弟妃が委縮してしまっては、少々都合が悪いでしょ？」

　にこりと微笑むベルフィオレ公爵夫人は、ちらりとデイジーとサフィアを見ると、視線を私に戻した。

　穏やかな笑みは消え、真摯な眼差しが私に問うている。侍女二人を前にして、これ以上のことを話していいのかと。

「ベルフィオレ公爵夫人。侍女の紹介が遅れました」

　そういえば、デイジーとサフィアは姿勢を正して並んだ。

「彼女はデイジー、私と共にデズモンドから来ました。幼い頃から私に仕えてくれています。そして、彼女はサフィア。エリザ様の侍女でしたが、今は私に仕えてくれています」

　静かに礼をするデイジーとサフィアを見て、ベルフィオレ公爵夫人に笑みが戻った。