フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「素敵なお嬢さんたちですこと。日頃はお二人しか側に置いていないのかしら?」
「いつもは、もう少し出入りがありますが、今日は夫人とゆっくりお話がしたくて、人払いをさせて頂きました」
「そう、ありがとう。私も、信頼できる侍女しか連れてこなかったのよ」

 カップを置いたベルフィオレ公爵夫人は、控えていた侍女を手招いた。

「アメリアよ。エリザ様の遠縁にあたる伯爵家の娘です」
「──!?」

 驚きに目を見開いていると、ベルフィオレ公爵夫人は静かに立ち上がった。そうして、私の横に座り直すと肩を寄せ、膝の上で揃えていた手にそっと触れてきた。

「リリアナ様には、エドワード殿下をお支え頂きたいのです」
「もちろん、この先もお支えする心づもりです」

 戸惑うことなく即答すると、ベルフィオレ公爵夫人は少し目を細くして嬉しそうに笑い「心強いわ」と呟いた。
< 183 / 275 >

この作品をシェア

pagetop