フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く～政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る～

「風習？」
「お茶会のことでございます。デズモンドでは、お茶会は殿方が主に開きます。魔物の侵攻具合や戦場の様子、隣国の動向などの情報交換の場になっています。令嬢が出席する気楽な場は少ないので……」

　ベルフィオレ公爵夫人と初めてお会いした時、美味しいお菓子とお茶を楽しむ優雅な催しのように感じた。ヴィアトリス王妃を招いていたこともあり、誰もがドレスアップしていたのも、印象深い。

　昼のお茶会だけでも文化の違いを感じたのに、夜の茶会となったら、どうなるのか。
　それが私の懸念材料でもあった。

「アルヴェリオンのお茶会について詳しく教えてください。王妃様に呼ばれた夜のお茶会では、どういったお話をすればよいのか、戸惑っております」
「夜のお茶会？」
「はい。デズモンドの話を聞きたいと」

　ベルフィオレ公爵夫人が少し眉をひそめて「夜にお茶会を開く風習などありませんよ」首を傾げた。