フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「殿下は、エリザ様のことがあってから、とても慎重になられて……リリアナ様をお迎えするまでは、一切の婚姻をお断りしていました」
「それは、同じ過ちを繰り返さないようにでしょうか?」
「おそらくは、そうでしょう。ですが、今回はデズモンド国王から、双方の国のためだといわれ、エドワード殿下も覚悟をされたようです」
「覚悟……」
「ええ。リリアナ様を、お守りする覚悟ですわ」

 穏やかに微笑んでいたベルフィオレ公爵夫人は「だから」と呟くと真摯な表情になり、真っ直ぐ私を見つめた。

「ベルフィオレ公爵家も、殿下とリリアナ様をお守りしようと覚悟を決めました。なんなりとお訊きください」

 私の手を優しく握るベルフィオレ公爵夫人の手は、まるで母のように温かく柔らかい。
 私を助けようとしてくださる思いが伝わってきた。

「……ありがとうございます。私は、この国の風習に疎いので、お教えいただきたいことがございます」
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