フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 頷かれたベルフィオレ公爵夫人は「手紙を出しましょう」といった。

「ご令嬢に、私の方から王妃に警戒するよう伝えます。パスカリス侯爵へも、忠告しておきましょう」

 心強い提案にほっと吐息をつくと、ベルフィオレ公爵夫人は少し困った顔で微笑んだ。

「ですが……少々、懸念すべきこともございます」
「懸念?」
「パスカリス侯爵のどのご令嬢が呼ばれているのか……三女のディアナ嬢でしたら、厄介かもしれません」
「……どのようなご令嬢なのですか?」
「今年で十八を迎えましたが、まだご結婚はされておりません。どうも、ご執心されている騎士の方がいらっしゃるとかで、その方とのご結婚を、御父上がお赦しになるのを待っているとか」
「騎士、ですか……」

 ふと、『瑠璃姫の涙』が脳裏によぎった。

「その騎士が、王妃直属だという噂を聞いたこともあります」
「では、王妃はそれを利用して、パスカリス侯爵に近づこうとされていると?」
「可能性はありますね……できれば、その夜のお茶会を止めさせたいところですが、私には難しいかと」

 ベルフィオレ公爵夫人は少し眉間にシワを寄せると、静かなため息をついた。
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