フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
もやもやとした私の心とは裏腹に、空は雲一つなくて真っ青だ。
清々しい空を魔鳥の影が横切る。
それのを見て、一抹の不安がよぎった。
ここは王城に近いから、魔物の襲撃に怯えなくていい。でも、辺境の地へいけば、穏やかな日々なんて数える程度だわ。
明日も笑ってすごせるのか考えると、胸が苦しくなった。
仕立てたばかりの赤いドレスに袖を通し、化粧台の前に座る。鏡には、浮かない顔が映っている。
思わず小さいため息をこぼすと、支度を手伝う侍女のデイジーが「どうされましたか?」と話しかけてきた。
「……不思議な夢を見たの」
「夢でございますか?」
「魔物の咆哮が聞こえない森を歩いてたら、誰かが私の手を引いて『こっちだよ』って笑って……」
あれは誰だったのか。顔はちっとも思い出せない。
「きっと、素敵な殿方が現れる予兆ですよ」
「それなら良いんだけど……魔物がいない世界なんてあるのかしら」
「お嬢様。心配なさらずとも、魔王様が素敵な殿方と引き合わせてくださいますよ!」
鏡の中に映る私を見てデイジーが微笑んだ。
清々しい空を魔鳥の影が横切る。
それのを見て、一抹の不安がよぎった。
ここは王城に近いから、魔物の襲撃に怯えなくていい。でも、辺境の地へいけば、穏やかな日々なんて数える程度だわ。
明日も笑ってすごせるのか考えると、胸が苦しくなった。
仕立てたばかりの赤いドレスに袖を通し、化粧台の前に座る。鏡には、浮かない顔が映っている。
思わず小さいため息をこぼすと、支度を手伝う侍女のデイジーが「どうされましたか?」と話しかけてきた。
「……不思議な夢を見たの」
「夢でございますか?」
「魔物の咆哮が聞こえない森を歩いてたら、誰かが私の手を引いて『こっちだよ』って笑って……」
あれは誰だったのか。顔はちっとも思い出せない。
「きっと、素敵な殿方が現れる予兆ですよ」
「それなら良いんだけど……魔物がいない世界なんてあるのかしら」
「お嬢様。心配なさらずとも、魔王様が素敵な殿方と引き合わせてくださいますよ!」
鏡の中に映る私を見てデイジーが微笑んだ。