フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
ロベルト王は、項垂れる騎士に言葉をかけると、衛兵に彼も連行するよう命じた。そうして、私たちに向き直ると、陛下は突如として膝をついた。
「リリアナ嬢、此度のこと、どう詫びたらよいだろうか」
「陛下、私は大丈夫です。エドワード様のために、尽くそうと決めて参りました。これからも、わたし、は──」
突然、目の前がぐにゃりと歪んだ。
まるで、絵の具を水に溶かしたように、景色が混ざっていく。体が鉛のように重くなり、まるで熱い湯の中に放り込まれたように息苦しさが襲ってきた。
体が沈む。
どさりとどこかで音がして、衣擦れの音がした。それよりも大きな心音が、うるさいくらい耳の奥で響いている。
「リリアナ? リリアナ、しっかりしろ。私の声が聞こえるか?」
「リリアナ様!?」
「おい、誰か、医者を呼べ!」
「お気を確かに、リリアナ様!」
皆の声が響く。
大丈夫ですから。──伝えたかったのに声は出ず、私の手を握りしめたぬくもりに、ほんの少し指先を動かして応えるので、精一杯だった。
「リリアナ嬢、此度のこと、どう詫びたらよいだろうか」
「陛下、私は大丈夫です。エドワード様のために、尽くそうと決めて参りました。これからも、わたし、は──」
突然、目の前がぐにゃりと歪んだ。
まるで、絵の具を水に溶かしたように、景色が混ざっていく。体が鉛のように重くなり、まるで熱い湯の中に放り込まれたように息苦しさが襲ってきた。
体が沈む。
どさりとどこかで音がして、衣擦れの音がした。それよりも大きな心音が、うるさいくらい耳の奥で響いている。
「リリアナ? リリアナ、しっかりしろ。私の声が聞こえるか?」
「リリアナ様!?」
「おい、誰か、医者を呼べ!」
「お気を確かに、リリアナ様!」
皆の声が響く。
大丈夫ですから。──伝えたかったのに声は出ず、私の手を握りしめたぬくもりに、ほんの少し指先を動かして応えるので、精一杯だった。