フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
暗闇を引き裂くような笑い声が聞こえてきた。
悪意に満ちた笑い声がこだまし、木々を揺らす。冷ややかな風が強まり、木の葉が舞った。
こつこつと靴が石畳を鳴らす。誰かが近づいてくる。今度こそ、煉獄の悪魔が近づいてくるのか。
あんなに熱かった身体が冷えていき、震えが止まらなくなった。
「助けて」
震えながら唇が動く。
誰か助けて。一人は怖い。もう、森になんて来ないから。──小さく震える私の背を、誰かが叩いた。
『こっちだよ』
知らない声が囁いた。それは優しく、私の心に柔らかい風を吹き込んできた。
震える手を、誰かが掴んだ。
白磁のようになめらかな白い手が、私を引き上げる。導かれるように、ふらつきながら立ち上がると、もう一度『こっちだよ』と声がした。
足を一歩前に踏み出し、柔らかな手を握りしめれば、応えるように握り返される。
顔を上げると、黄色いドレスが揺れた。
真っ暗な森の中に差し込んだ月あかりが、キラキラとその人を輝かせる。揺れるスカートに咲くのは、まるでヒマワリの花。
この人を、私は知っている?
悪意に満ちた笑い声がこだまし、木々を揺らす。冷ややかな風が強まり、木の葉が舞った。
こつこつと靴が石畳を鳴らす。誰かが近づいてくる。今度こそ、煉獄の悪魔が近づいてくるのか。
あんなに熱かった身体が冷えていき、震えが止まらなくなった。
「助けて」
震えながら唇が動く。
誰か助けて。一人は怖い。もう、森になんて来ないから。──小さく震える私の背を、誰かが叩いた。
『こっちだよ』
知らない声が囁いた。それは優しく、私の心に柔らかい風を吹き込んできた。
震える手を、誰かが掴んだ。
白磁のようになめらかな白い手が、私を引き上げる。導かれるように、ふらつきながら立ち上がると、もう一度『こっちだよ』と声がした。
足を一歩前に踏み出し、柔らかな手を握りしめれば、応えるように握り返される。
顔を上げると、黄色いドレスが揺れた。
真っ暗な森の中に差し込んだ月あかりが、キラキラとその人を輝かせる。揺れるスカートに咲くのは、まるでヒマワリの花。
この人を、私は知っている?