フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「リリアナ。私はここだ。ここにいるぞ!」
「医者を……医者を呼んで参ります!」
サフィアが叫びながら部屋を出ていくと、入り口で控えていたローレンスも「陛下にご報告を」といって駆けだした。
「リリアナ様!」
「皆、お前を待っている……そっちにはいかないでくれ」
リリアナの手を握りしめると、僅かだが、細い指が応えるように動いた。
「こっちだ、リリアナ……皆、待っている」
白い指が熱を失ってしまうのではないか、不安でたまらなかった。
額に触れ頬を撫で、乱れた髪を指先で梳いて。リリアナがいることを確認するように触れながら、何度も「こっちだ」と呼びかける。
頼むから、リリアナを連れていかないでくれ。
「医者を……医者を呼んで参ります!」
サフィアが叫びながら部屋を出ていくと、入り口で控えていたローレンスも「陛下にご報告を」といって駆けだした。
「リリアナ様!」
「皆、お前を待っている……そっちにはいかないでくれ」
リリアナの手を握りしめると、僅かだが、細い指が応えるように動いた。
「こっちだ、リリアナ……皆、待っている」
白い指が熱を失ってしまうのではないか、不安でたまらなかった。
額に触れ頬を撫で、乱れた髪を指先で梳いて。リリアナがいることを確認するように触れながら、何度も「こっちだ」と呼びかける。
頼むから、リリアナを連れていかないでくれ。