フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 カーテンの隙間から光が差し込んだ。それが、リリアナの白い顔を照らすと、閉ざされていた瞳がうっすらと開いた。
 ぼんやりとしながら、私を見る。

「リリアナ……」

 呼びかけると、小さな唇が「エリザ様?」と動いた。
 胸が苦しくなり、リリアナの手を握りしめながら息を飲んだ。

 ずっと戦っていたのか。エリザの死に、私以上に向き合ってくれていた……君は、本当に強い。

「リリアナ……もう大丈夫だ。私はここにいる。さあ、こっちだ」

 帰ってきてくれ。いかないでくれ。

「……エド?」

 弱々しい声が、私を呼んだ。

「ああ、そうだ。私だ。エドワードだ……」

 私の後ろに立っていたデイジーが、すすり泣きながら「よかった」と呟く声がした。
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