フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 ロベルト王と医者を見送るのに、デイジーとサフィア、ローレンスも部屋から出ていった。

 寝室には私とエドワード様、二人きりになった。

「喉が渇いただろう?」

 ベッド横のテーブルに置かれた水差しから、グラスに水を注ぐエドワード様は、起き上がろうとする私の背を慌てて支えた。
 手を借りながら、ゆっくりと体を起こすと、ハーブが香る冷たいグラスが差し出される。

 少しずつ喉を潤し、ほっと一息つくと身体がずしりと重くなった。

 まだ、起きていることも出来ないなんて。医者がいうように、無理をしすぎたのね。

「少し休むか?」
「……手を、握って下さいますか?」

 重たい身体を横たえ、柔らかいクッションに頬を寄せると、さらに体が重くなる。

「寝るのが、怖いです」
「……医者も、もう大丈夫だといっていた」

 そういいながら、エドワード様は私の手をそっと握った。
< 236 / 275 >

この作品をシェア

pagetop