フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「ああ。あの時、映像を見ていたのは私たちと兄上の護衛騎士だけだ。衛兵の一部も事の次第を知ったが、現場を見たのは限られた者だ」

 確かにそうだわ。
 ロベルト王と共に侯爵たちも見ていたから、あの場に駆けつけたけど、ごく限られた者しか見ていない。

 あの記録を大衆に晒せば、ヴィアトリス王妃の罪は確定されるだろう。でもそれは、ドレスを剥ぎ取られそうになったクラリッサとマリアンヌの姿を大勢に晒すことでもある。

 被害者である未婚のお二人を、そのような目に合わせるのは、心苦しいわ。

 ヴィアトリス王妃を断罪することが、王族としては正しいのだろう。でも、クラリッサとマリアンヌが泣いて暮らすようなことは、同じ女として受け入れられない。

 ベルフィオレ公爵夫人の優しさが見えた。

「クラリッサとマリアンヌを助けるために箝口令を敷く。だから、ヴィアトリス王妃を重病人に仕立てるのですね?」
「理解が早くて助かるよ。表向きは王家の別邸があるベルフィオレ公爵領で、療養をすることになっている」
「表向き……?」
「実際はデズモンド預かりとなる。十日後、移送されることが決まった」
< 243 / 275 >

この作品をシェア

pagetop