フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「えっ、デズモンド?」
「……フェルナンド卿が、随分お怒りでな」
少し肩を竦めたエドワード様は、私の手からティーカップを取り、それをテーブルに置いた。そうして、手を握りしめると、唐突に「すまなかった」といって頭を下げた。
「君を苦しめた王妃を裁くことが出来ない。私の力不足だ。許して欲しい。本当であれば、民の前でその首を──」
「エド、私は大丈夫よ。クラリッサとマリアンヌも守られるなら、それに越したことはないわ。それに、私も倒れていなかったら、ベルフィオレ公爵夫人と同じことをいっていたと思うの」
「リリアナ……」
「エド、こっちを見て。私は、あなたの憎しみに染まった顔を見たかったんじゃないのよ。だから……決断を悔やまないで」
そんな顔を見るために、ヴィアトリス王妃を追い詰めたんじゃない。ましてや、王妃の首を民衆の前に晒したかったわけじゃない。
そっとエドワード様の頬に触れると、彼の鋭かった瞳が見開かれ、小さなため息が零れた。
「君は、本当に優しいな。それに、とても強い」
「……フェルナンド卿が、随分お怒りでな」
少し肩を竦めたエドワード様は、私の手からティーカップを取り、それをテーブルに置いた。そうして、手を握りしめると、唐突に「すまなかった」といって頭を下げた。
「君を苦しめた王妃を裁くことが出来ない。私の力不足だ。許して欲しい。本当であれば、民の前でその首を──」
「エド、私は大丈夫よ。クラリッサとマリアンヌも守られるなら、それに越したことはないわ。それに、私も倒れていなかったら、ベルフィオレ公爵夫人と同じことをいっていたと思うの」
「リリアナ……」
「エド、こっちを見て。私は、あなたの憎しみに染まった顔を見たかったんじゃないのよ。だから……決断を悔やまないで」
そんな顔を見るために、ヴィアトリス王妃を追い詰めたんじゃない。ましてや、王妃の首を民衆の前に晒したかったわけじゃない。
そっとエドワード様の頬に触れると、彼の鋭かった瞳が見開かれ、小さなため息が零れた。
「君は、本当に優しいな。それに、とても強い」