フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
優しい風が吹き抜け、青々とした葉の香りが鼻腔をくすぐった。
「もう少ししたら秋咲きの薔薇が咲きますね」
「そうだな。その頃に夜会を開こう。この庭も開放し、魔法の光で花を照らすのはどうだ?」
「素敵ですね。クラリッサとマリアンヌも呼びましょう」
「ああ、そうだな」
「その前に……エリザ様のお墓にも連れていって下さいね」
医者から部屋を出る許可が降りたのは今朝のこと。
王家のお墓がある教会は城塞の中にあるのだけど、そこに行くのはまだ駄目だといわれている。
「そのことなんだが……」
膝に置いていた指に、エドワード様の武骨な指が絡まった。
少し戸惑うような声を不思議に思って見上げると「エリザの墓はここにないんだ」と告げられた。
「どういうことですか?」
「エリザのご家族の希望で、墓は領地に作られた」
「そうですか……では、お会いできるの、だいぶ先になりそうですね」
残念に思っていると、立ち上がったエドワード様が私の手を引っ張った。
「もう少ししたら秋咲きの薔薇が咲きますね」
「そうだな。その頃に夜会を開こう。この庭も開放し、魔法の光で花を照らすのはどうだ?」
「素敵ですね。クラリッサとマリアンヌも呼びましょう」
「ああ、そうだな」
「その前に……エリザ様のお墓にも連れていって下さいね」
医者から部屋を出る許可が降りたのは今朝のこと。
王家のお墓がある教会は城塞の中にあるのだけど、そこに行くのはまだ駄目だといわれている。
「そのことなんだが……」
膝に置いていた指に、エドワード様の武骨な指が絡まった。
少し戸惑うような声を不思議に思って見上げると「エリザの墓はここにないんだ」と告げられた。
「どういうことですか?」
「エリザのご家族の希望で、墓は領地に作られた」
「そうですか……では、お会いできるの、だいぶ先になりそうですね」
残念に思っていると、立ち上がったエドワード様が私の手を引っ張った。