フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「墓に今すぐ連れていってやれないが、エリザを感じられる場所がある」
「エリザ様を感じる?」
不思議な物言いに首を傾げつつ、手を引かれてパーゴラを出た。
燦燦と降り注ぐ陽射しの中、吹き抜ける風が、庭木の葉を揺らしてさわさわと囁く。
広い庭園を進みながら、エドワード様の大きな背中を見つめた。
「エリザ様とも庭を歩きましたか?」
「いや……王妃を油断させるため、不仲を演じようといってきたのはエリザでな。元より、全て片がつけば離縁する約束だったし、彼女が離縁されても外からあらぬ事をいわれぬよう、城の中では距離を置いていた」
エドワード様の手に力が少し込められた。
この景色を、二人で眺めることはなかったのね。
エリザ様はどんな思いで庭を眺めたのかしら。離れ離れになった想い人を恋しく思っていたのか。それとも、ただ王妃を追い詰めることを考えていたのか。
「……エドは、エリザ様が弱いといってましたが、とても、強い女性だったと思います」
「エリザ様を感じる?」
不思議な物言いに首を傾げつつ、手を引かれてパーゴラを出た。
燦燦と降り注ぐ陽射しの中、吹き抜ける風が、庭木の葉を揺らしてさわさわと囁く。
広い庭園を進みながら、エドワード様の大きな背中を見つめた。
「エリザ様とも庭を歩きましたか?」
「いや……王妃を油断させるため、不仲を演じようといってきたのはエリザでな。元より、全て片がつけば離縁する約束だったし、彼女が離縁されても外からあらぬ事をいわれぬよう、城の中では距離を置いていた」
エドワード様の手に力が少し込められた。
この景色を、二人で眺めることはなかったのね。
エリザ様はどんな思いで庭を眺めたのかしら。離れ離れになった想い人を恋しく思っていたのか。それとも、ただ王妃を追い詰めることを考えていたのか。
「……エドは、エリザ様が弱いといってましたが、とても、強い女性だったと思います」